出られない遊園地

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 俺達三人は、自分達の住んでいる町の近くに新しく出来た遊園地に遊びに来ていた。しかし、俺達以外には他の客がいないどころか、従業員さえも見当たらない。それもそのはず、何故ならとうに閉園時間は過ぎていたからだ。  だが、困ったことに帰ろうにも出口は封鎖されてしまっており、自力で登るにも困難な高さである。本来ならこういった事故は起こらないのだろうが、新しかった故に従業員の確認も疎かになっていたのかもしれない。 「はぁ……そもそも俺達、なんでここに来たんだっけ」  ため息混じりにそう呟き、柱に寄りかかるようにして光の消えた遊園地を眺める。視界の端に二人がいるのを確認しながら俺はここに来た経緯を思い出していた。 「なぁ、最近出来た遊園地に遊びに行こうぜ」  切っ掛けは俺の友人の一人である大地が放ったこの言葉だった。彼は机に掛けていた鞄を漁り始めたかと思えば、長方形の色鮮やかな紙を取り出して俺達に見せながら瞳を輝かせて先程の言葉を口にしたのだった。 「……遊園地?」  訝しむような顔をしてそう言ったのは翼である。大地の持っている光沢のある紙を手に取り、その紙に書かれた文字を目で追いかけているようだ。一通り目を通したのか、彼は俺にその紙を手渡す。チラシには目の痛くなるような色使いに大きな文字で、この近くに新しく遊園地が出来たという事が書かれていた。 「こんな辺鄙な場所に遊園地が出来るなんてね」  いつもなら冷めた声で大地の発言を一蹴する翼も、心なしか声が弾んでいるようだった。だが、そうなってしまうのも無理はないだろう。何故ならこの町は勿論、隣接する街にもこのようなものは今まで無かったのだから。かくいう俺もこの知らせに舞い上がっていた。 「確か今週の土曜日は二人とも予定入ってなかっただろ?」  少年の様にはしゃぎながら俺と翼の顔を交互に見やる彼は既に行く気満々のようであった。俺と翼は顔を見合わせ、一度頷くと彼の言葉に返答した。 「まぁ、僕は暇だし行ってもいいよ」 「俺も異論はないな」  肯定の言葉を受け取ると彼は嬉しそうに飛び跳ね、携帯を使ってアトラクションの情報等を集め始めたのだった。  そして当日、今日この日が来てひとしきり遊んだ後起きた出来事が今の状況である。あの時は、まさか遊園地から出られなくなるだなんて少しも予想もしていなかったのだ。
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