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「ど、どうしたの?」
「いえ、ゆかりさんってほんとうに優しい人だなと思いまして。今まで祈られたことはたくさんありましたけど、この神のために祈られたのは初めてで……ありがとうございます」
言っているうちに照れたのか、神ちゃんは恥ずかしそうに顔をそらす。
感謝されるほど大層なことはしていないけれど、喜んでもらえてるからまぁいいか。
結構長い時間いたからそろそろ帰らないとならないと話したら、鳥居まで神ちゃんが見送ってくれた。
「それじゃあね」
「あっ……」
神ちゃんは何かを言いたげにこちらを見て、俯いてもじもじし、またこちらを見ては俯いてもじもじすることを繰り返した後、意を決した眼差しで私を見つめて言った。
「あ、あのっ……もしよければ、明日も遊びにきてくれませんか!」
まるで告白のようだ。少しくすぐったい気持ちになる。頬が緩む。
「わかったよ、また明日も会おうね」
「はい! ぜひ!」
やくそく、と指切りをして、私は神社を後にする。
ふっと神社を振り返ると、ぶんぶんと腕を振る神ちゃんが見えて、私も手を振り返した。
きっともっと仲良くなれる。そんな気がするのは、たとえ幼くても立派に縁結びの神様だからかもしれない。私との縁を、結んでくれたのかもしれない。
温かい気持ちを連れて、私は再び帰路についた。
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