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親父が犬嫌いだった為、犬とは縁遠い生活だった俺は、犬の種類は分からなかった。ただ、大きな犬だな、と思っただけだった。
「なんだ、ビックリしたー。...一人?」
つい、そんな風にその犬に話しかけている自分を、どこか客観的に観察している自分もいて、犬に“一人?”はないだろうとツッコミを入れていた。
「クゥーン。」
その犬は喉を鳴らして返事をした(ように思えた)。
「そうか、俺も一人なんだ。...一緒に来る?」
ついつい普通に話しかけてしまったのは、ソイツが妙に賢そうな顔をして、“あなたの言葉を百パーセント理解していますよ”というような表情をしていたから、かもしれない。どこか人間臭い表情をして、その犬は俺についてきた。
「チョコみたいだな、お前の色。」
そう言うと、チョコ、という部分に反応した気がした。
「ん?もしかしてチョコって言うのか?名前。」
「クゥン。」
「ふふっ。」
自然と笑いがこみ上げた。なんだ、俺、笑えてる。久々に笑った気がした。
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