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「サリエルは、月に独りでいることが多かった。 あの性質も原因ではあるが、天に居ても孤独だからな。過去には 役割のため、親しかった天使も 堕天させねばならなかったこともあった」 人格的にも 好かれる方じゃないだろうけど 役割のせいで 余計なのかも... とか思う。 でも、やらねーと なんだよな。 「“何故、アリエルを選んで堕天させた?” と サリエルに聞くと、誰かに唆される内に “月で 自分の傍だけに置けるのではないか?” と 考え出したようだ。 アリエルとは、ろくに話したこともなかったようだが、“天で 一番美しいものだった” と」 やばい。ちょっと 胸痛い。 本当は、“ただ好きでいるだけ” って ヤツなのかもしれんよな。 泰河は、カップに薄く残ったコーヒーに 視線を移してる。 「“アリエルを愛していたのか?” と聞くと サリエルは、静かに泣いた」
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