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「アコ、ディルも “最近遊んでおりません” と 言っていたぞ」 シェムハザが言うと 「うん、蝗集めが終わったら行く。 パイモンが まだ足りないって言うんだ」って また鍋の火を点けて、白菜入れ出した。 本当だ。アコもモテやがるし。 「おっ」って泰河がテーブルの隣を見上げる。 ハティが登場した。 べリアルに言われて、皇帝を迎えに来たらしい。 「よう、ハティ。座る?」って聞いたけど アンバーの羽化の時のツラして 「灰色蝗を調べていた。食事か?」って言った。 「だって、おまえ いつも忙しいじゃん」 「ゾイが来てから、オレら放置だしさ」 オレらは ぶーぶー言ってやってたが 皇帝は ふいっとハティから眼を逸らした。 まだ帰らないぜアピールっぽい。 ハティは皇帝に漆黒の眼を寄越すと 口許を緩ませ、オレが退いたとこに座って 「珈琲を」と 言った。 肘掛けだった泰河も 一緒にカウンターに淹れに来る。 「なあ、ルカ。さっきのサリエルの話さ ハティとかボティスにしなくていいのか?」 「ああ、そうだよなぁ。 ハティはべリアルに聞いてるかもだけど... 」 「シェムハザには、なんか言いづらいよな。 いや、奥さんは人間の方だけどさ」 「うーん...  けど、半身の話だしなぁ」
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