2人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
雲一つない晴天の空。
ある日のことだった。
「そこのあんちゃん。ちょっと良かかね?」
とある少年に話しかけてきたのはすべてが真っ白な杖をついた老婆だった。
髪も皺がたくさんある顔も衣服も身体も靴も杖もすべてが真っ白なお婆さんだった。
すると少年は振り向く。
少年は黒髪だが、櫛で溶いてない為、ボサボサで生まれつき三白眼で何時も睨んでいると勘違いされている。
服装はブカブカのジャンパーにアクセサリーがジャラジャラ付いたジーパン、黒いスニーカーを履いている。
少年は老婆の目線に合わせるようにしゃがむ。
「婆ちゃん、どうかしたか?」
すると老婆は顔色ひとつ変えずに
「あんねぇ…『天国』行きのバス停、知らんか?」
と言った。すると少年は一度立ち上がると再び前を向く。
そのまま立ち去るのかと思いきや、少年は再びしゃがむと背後の老婆に
「婆ちゃん。案内してやるから、オレの背中に乗りな。」
と言う。
少年はどうやら、老婆をおんぶしようとしていたようだ。
「良かとかね?おんたかかもしれんよ?」
と老婆は言うと少年は
「へーき、へーき。オレ、こう見えても慣れってから。大丈夫だ。」
そう言うと老婆はすまんねぇと言うと少年におんぶしてもらい、『天国』行きのバス停へと向かって行く。
そう、この世界は死者の魂が集まる“死後の世界”だった。
少年は『死人』と呼ばれる死者の魂を『天国』行きへのバス停へと送り届ける“下級悪魔”だった。
最初のコメントを投稿しよう!