♯1

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ここは“死後の世界”――― 空は何時も雲一つない晴天で雨が降ることも曇ることも雷が鳴ることも雪が降ることも嵐がくることも全くもってない世界だった。 そんな世界に集まる人間や生き物達はすべて真っ白で表情を変えることもない。 時計すらなく、時間を計るものは空に浮かぶ太陽と月だけだった。 太陽が昇れば朝、太陽が沈み、月が昇れば夜といった時間がこの世界では普通だった。 死人(しびと)達は『天国』へと向かうバスに乗り、天国へと向かう。 その『天国』行きのバス停へと向かうのだが、死人を邪魔する者がいないわけではない。 この世界には死人の他にも『天使』や『堕天使』、そして『悪魔』といった普通の人間が見えない者達も存在するのだ。 天使だろうが、堕天使だろうが、悪魔だろうが死人達を『天国』行きのバス停へと案内し、連れて行く者がいる。ちなみにほとんどが新人の最初の仕事である。だが、行くのを邪魔する者も中にはいる。 そんな中、とある少年は『天国』行きのバス停でバスを待つ。 「お!今、来たぞ。」 「本当だ…。」 少年の隣にはまだ5歳くらいの少女がいた。 彼女は真っ白な為、死人である。 そしてバスが到着し、バスの扉が開く。 待っていた死人達は次々とバスに乗り込んでいく。
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