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少女は俯き、バスに乗ろうとしない。
すると少年は少女の目線に合わせるようにしゃがむと
「嬢ちゃん、乗らないのか?」
すると少女は
「お兄ちゃん、『天国』に行ったら、本当にお星様になれる?」
すると少年は少女の頭を撫で
「大丈夫。きっとなれるさ。お星様になって、また“人間”に生まれ変わって、また大好きなママとパパに会いたいだろ?」
少年がそう言うと少女はうんと頷いた。
「このバスに乗って行けば、また大好きなママとパパに会えるんだ。また生まれ変わって、ママとパパの子供として嬢ちゃんが生まれる。今はまだまだだろうけど、きっとお星様になれる。だから頑張れ!兄ちゃんは何時でも嬢ちゃんの味方だからな!」
少女は少年の言葉に笑みを浮かべるとうんと言って頷いた。
そして少女はバスに乗り込む。
そしてバスは出発した。
少女は大きく手を振る。
少年も答えるように手を振った。
「さてと」
そう言うと少年は再び街へと向かうように歩き出した。
少年こと黒井翼は“死後の世界”で死人達を『天国』行きのバス停へと送り届ける“悪魔”である。
だがしかし、そんな翼のささやかな日常をぶち壊すまで後、5分30秒。
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