1人が本棚に入れています
本棚に追加
「我々の国では人類の健康・長寿化を目的とした大規模なプロジェクトを進めています。そこにぜひあなたもゲノム編集の技術者として参加していただきたい。あなたが現在どういう状況に置かれているかは把握しています。このままで早かれ遅かれ廃業に追い込まれるでしょう。場合によっては逮捕もあり得る。こちらの国に未練がないようでしたら、是非我々の国に来ていただきたい。1週間後にまた来ます」プロジェクトの資料を置いて彼女は去っていった。
中東のT国。当時の筆者は名前こそ知っていたものの、どのような国家なのか、全くイメージがつかなかった。それでも彼女の提案は魅力的だった。生活も保障されているし、研究環境も悪くないようだ。それにこのまま事業を続けても行き詰まるのは目に見えている。筆者はT国について可能な限り調べ、出国を決意した。
最初のコメントを投稿しよう!