各国の長寿化に関する一研究者の告白

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 筆者はその日からヒトの受精卵を使用して実験を繰り返した。どうすればより強靭な身体を創り出すことができるのか。どうすればより長く生きることができるのか。ヒトの受精卵を使用することで、劇的に研究の速度が上がった。  ホモ・サピエンス・サピエンスからの人為的な進化。それこそがPH計画の真の目的であった。その目的を達成するためのに筆者が完成させたのがUH(update of human)技術である。  筆者は数え切れないほどの受精卵を使用して研究を進めた。それこそ人体実験という謗りは免れないだろう。実際、数々の人体実験の噂はほとんどが事実であると後に分かることとなる。結局のところ、PH計画そのものが人体実験を前提として行われていたものであった。だが、国内はともかく、計画を支援していた大国・富裕国からの批判はなかったのだろうか。驚くべきことに、それらの国々の一部高官もPH計画の実際を知りながら是認、正確には黙認していたという。大国・富裕国にから支援を受け。UH技術をはじめとしたPH計画の中で生まれた健康・長寿化に資する様々な技術を培う。その技術をそれらの国々に還元する。大国・富裕国の国民はより健やかに、豊かになり、T国への支援を続ける。世界的な長寿化は人体実験に基づいたこのサイクルによって成り立っている。
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