The Fireworks of a Summer Night ー第2話ー

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 照明を弱く落とした部屋の窓から、街の灯と月明かりが仄かに入り込む。  逃げずに、向き合う。  じゃないと……  きっとこいつとは、もうやっていけないーー。  お互い、身体中の勇気を振り絞って、互いを見つめる。  心のどこかで常に願いながら……怖くてできずにいたこと。  あのゴンドラの中で、初めて向き合った。  初めて自分の心の奥を見つめ……気づいた。  ーーもっと、近づきたいと。  心も、身体も。  吉野の指が、岡崎の肩を静かに引き寄せる。  あの時したように……ぎこちなく、額を近づける。  そうだった。  あの瞬間。  額を寄せたら……額よりも、唇を寄せ合いたくて。  強烈にーー。 「…………」  吉野は、岡崎の瞳を正面から見つめた。  その唇に触れる許可を得るために。 「ーーーー」  見つめ返そうとした岡崎の視線が、急に迷い……俯いた。  吉野は岡崎の視線を追う。  肩にかけた指の力が自ずと増す。              
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