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「夏も、もうすぐ、終わるね…」
波の声に紛れて、彼女がそう言った。
僕は、うん、と頷いた。
夏も終わりに近づく時期、砂浜には誰もいなかった。
涼しい風が吹き始める。
「ちょっと寒いね…」
「大丈夫?」
そう言って僕は、彼女の手の上に自分の手を重ねた。
それでも彼女は、まだ寒いようだった。
「なんか、寂しいや…君は、今、寂しい…?」
「僕は寂しくないよ、君の隣にいられるから。
それより君は、どうして寂しいんだ。」
僕の、彼女に問うた言葉は、風に乗って消えていった。
彼女は言葉に詰まったようで、下を向いた。
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