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「あら、そう。いつ帰ってくるの? ……何、もうすぐじゃない。言ってくれれば色々用意出来たのに。……そう。うん、気をつけてね」
受話器を置いたお母さんに駆け寄る。
「お母さん! 今の電話、誰?!」
オレの予想が当たっているって分かってるけど、それでも早く答えが欲しくてお母さんの腕を引っ張る。
「誠司お兄ちゃんよ。今度の土曜日に帰ってくるんですって。今回は東京出張が一週間あるみたいで、その間は家に泊まるみたいよ」
「一週間!? やった! ねえねえどっか行くでしょ?! オレ、兄ちゃんと遊園地行きたい!」
ううん、遊園地だけじゃない。映画も行きたいし、一緒にゲームもしたいし……きっと、一週間なんてあっという間なんだろうな。
「誠司お兄ちゃんは遊びに来るんじゃないのよ、お仕事で来るんだから」
「えええー……」
「まぁでも、誠司も休みがあればちょっとお出かけくらいは出来ると良いわね」
「うん、うん!」
どうしよう。今からめちゃくちゃ楽しみ。学校なんか一週間くらい行かなくても良いんじゃないかな、でもずる休みしたら、遊びに行くのもダメになっちゃうよな……。
明日の学校の準備をしなくちゃいけないのに、頭の中は兄ちゃんと何をしようか考えるのでいっぱいだ。
ああ、早く兄ちゃんに会いたいなぁ。
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