【番外編】 真

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 一緒にいたい、触りたい、知りたい?  一緒にいると、ドキドキする……?  それってさ、いつもオレが兄ちゃんに思ってることと同じような気がするんだけど。  つまり、兄ちゃんの話からすると…… 「じゃあ、オレの好きな人は兄ちゃんになるね」  だって一緒にいたいし、ドキドキするし、ぎゅって抱きしめたいし、手も繋いでいたい。  ぎゅって兄ちゃんの手を握る。 「え……?」  じっと兄ちゃんを見上げると、兄ちゃんが今までに見たことない顔でぽかんとしてオレを見てた。 「そ、うだな――俺も、真といるのは楽しいよ」 「うんうんっ! オレも!」  お風呂から上がって、ご飯を食べて、寝るときも一緒に寝た。  こんな幸せなことが、何で毎日続かないんだろう?  終わっちゃうんだろう? 悲しいよ……。 *** 「真! 兄ちゃんが帰ったからってだらしなくしないの!」 「兄ちゃん、もういないし良いじゃん」 「真!」  兄ちゃんがアメリカに帰ってしまった。一週間、本当に早過ぎた。  兄ちゃんはお母さんが言ってた通り忙しかったみたいで、休めたのは一日だけ。兄ちゃんは疲れてるからあんまり遠くに行くのは悪いかなってお母さんに言われて、ショッピングモールに行っただけ。  でもお揃いのキーケースを買えたから、それがすっごく嬉しかった。  兄ちゃんの携帯には今は透明のカバー以外何もついていないけど、何故か、昔の携帯をいつもお守りみたいに持ち歩いている。緑色の携帯カバーがついたやつだ。  もうすごい前の機種だし使えなさそうだし、なんでこんなのいつも持っているのかな? って思ったから、何となく 「それもういらないんじゃない?」って言ってみた。そしたら、 「これは大事なんだ」ってハッキリ言われた。  その言い方が何か、すっごく嫌だった。兄ちゃんは本当に大事なものみたいにその古い携帯を見てた。渋めの緑色の、革っぽい感じのカバー。  何の変哲もない、フツーのカバー(しかも古くてダサい)にしか見えなかった。  だから余計捨ててもらいたかったけど、多分それはまだ無理だから、せめてと思ったんだ。 ――オレ、いつも持ち歩くような、兄ちゃんとお揃いの物が欲しい!
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