落ちてきた

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「やばい、洗濯物取り込まなきゃ。」 今朝の天気予報には1日快晴だと出ていた筈なのに晴れていたのは午前中だけ、夕方になると外は土砂降りおまけに雷まで鳴りだした。仕事を定時で上がった紫はそんな雷雨の中を傘もささず走っていた。頭の中にはベランダに干しっぱなしの洗濯物。 アパートの階段を息を切らしながら一段飛ばしで駆け上がった紫は2階にある自宅の鍵を開け中へ飛び込んだ。靴を脱ぎ捨て急いで部屋の1番奥にあるベランダに行く。 窓越しでも分かる、あれは完璧に濡れている。 「あーやっちゃった。何で天気予報なんてもの信じるのよ私!」 紫は朝の自分に苛立ちながら窓を開ける。その、瞬間だった。 チカっと光ったかと思うと大きな音ですぐ目の前に雷が落ちた。 「きゃっ?!」 紫はヒヤッとして、空を見上げる。と、灰色の空大粒の雨の向こうから影のような物が迫って来ているのが見えた。 「…今度は何?!」 急いで紫はベランダから部屋の中へ入る。 紫が部屋に入った直後、ベランダにドサッと音を立て何かが落ちる。その後に物干し竿が倒れる音だろう、ガラガラという音が続く。 「…。」 恐る恐る目を開いた紫は目の前の光景に、何度も瞬きを繰り返す。 金髪の…美しい少年がベランダで倒れているのだ。体の所々に血が滲んでいて、着ている真っ白な服は焼け焦げ穴が空いているところもある。 「は、早く手当てしないと!」 ベランダに流れる血を見て紫は急いで少年に駆け寄り、引きずってどうにか部屋の中へ入れる。
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