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「よし。」
手当てを終えた紫は額の汗を拭う。
手当てと言っても、看護師でもお医者でもない紫にできるのは、血の出ているところに絆創膏や、ガーゼを貼るくらいなことで
「…救急車とか、呼んだ方がいいのかな?」
そう呟いた時だった。目を閉じたままだった少年が、ゆっくり瞼をあげたのだ。
紫はドキッとする。少年の瞳の色は、人間と思えないほどに美しく、見たことの無い色で光を反射しキラキラと輝いている。
息を飲み瞳を見つめていた紫の視線と天井を見ていた少年の視線が、パチッと合う。
「…わ」
「...わ?」
「...わあああああ」
声を発したと思うと、少年は急に叫んだ。
「なっ、何よ?!」
紫を見るなり少年はバッと起き上がり、
「いったっ!」
羽を押さえまた床に倒れる。
「ちょっと何してるのよ!...て、ちょっと待って…」
「いたた、そっかオレ雷に打たれちゃって...キミが助けてくれたの?」
「っえ?あ、そうだけど…」
応えながらも、紫の視線は少年の背中にある羽。
紫は思う。あれ?そういえばこの子何処から降ってきたの?小さく動く羽を見て、紫は質問せずには居られなかった。
「辛いとこ申しわけないんだけどひとつ聞いても良い?」
「...何?」
「貴方...人間じゃないの?」
紫のその言葉に少年はキョトンとして
「うん。」
頷きそのまま続けて
「オレは神さま見習いの天使だよ。」
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