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「名前はリリーって言うの、助けてくれてありがとう。」
眩しいほどに輝く笑顔でそう続けた。
天、使...そんな非現実的な...紫はクラッとする。
「キミは何て名前なの?」
「わ、私?...紫だけど。」
「ユカリ...うん覚えた!」
まだ頭が目の前の光景に追いついていない...
と、リリーがゆっくり立ち上がる。
「ごめんねユカリ。ホントはお礼がしたいんだけど、今急いでいるところですぐに戻らなきゃいけないの。終わったらお礼しにくるから、今は帰らせて。」
「...いや、お礼は良いんだけど」
貴方その怪我で...そう続けようとした紫の前でリリーは窓を開け羽を広げベランダから.飛び立とうとして........落ちた。
「ちょっと!!」
紫はベランダから身を乗り出し、リリーの腕を掴む。
「っその傷じゃ無理でしょ!!!」
「...!」
紫が引っ張りあげるのに合わせてリリーは少し羽を動かし、ベランダに戻る。
「戻るのは怪我が治ってからにして!...それまでは、うちに居ていいから。」
まだ止みそうもない激しい雨の中、紫はリリーの綺麗な瞳を真っ直ぐに見て言う。
その言葉にリリーは何度も瞬きをして
「...ありがとう、ごめん心配させちゃって」
そう申し訳なさそうにに言い紫に.......口付けを落とした。
「っ?!」
...それも、唇にだ。
突然のことに紫は真っ赤になる。
「何っ、するの?!してるの!!?」
「何って」
紫の言葉にリリーはキョトンとして
「お礼だよ?」
何かおかしな事した?というような顔でそう続けた。
まじか...天使の中じゃ礼でするような行為なのかコレは...
紫はゆっくり立ち上がるとフラフラしながら部屋の中に入る。
「よろしくね、ユカリ!」
後ろからリリーが言う。その声に紫が振り返ると眩しい笑顔のリリー。
「...うん。天使くん。......お風呂沸かすから、入りな。」
えらいもんを拾ってしまった。紫はゆっくり目を閉じた。
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