第1章

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2月14日。 世間はバレンタインで賑わっていた。 自分の教室内でモテる男子生徒が女の子達からチョコを貰ったり女子間でチョコの交換が行われていた。 でも自分はそんなイベントに縁はなくいつものようにモテない男子グループの輪に入り話しをしていた。浮いた話しに負けない位に大きな声で。 別に今年こそ貰えるかもとか期待などはしていない。自分はいつものように学校に行き授業を受け帰るだけだから。 そう思っていたから帰りの下駄箱に知らない紙袋が入っていた事に大いに驚いた。 そして、今1人で良かったと心から思った。 周りにいつものメンバーがいたら晒し首にされていただろうから。 紙袋の中身は小さな箱と1通の手紙だった。 差出人は同じクラスの女子生徒。天然でドジだけど可愛くて優しい子。 手紙の中身は 「大好きです。付き合ってください!返事待ってます。」といったシンプルな物だった。 あの子なら変化球みたいに予想外な事が書いてあるかと思ったが案外普通だった。 そしてその子が俺の事を好きだと言ってくれたのがとても嬉しかった。 LINEで返信しようかと思ったけどこういうことは直接伝えた方が良いかと思い、出しかけた携帯をしまう。 そうだ!と帰りながら紙袋から小さな箱を取り出し中を確認した。 中身は小さなチョコレートがいくつも入っていた。 せっかくだしチョコの味の感想も言おうとそのチョコをつまんで口に入れた。 もぐもぐとしばらく咀嚼して考えていた。 勿論告白の返事はOKと言うつもり。 実は俺もそのこの子とが気になっていたから。 少し天然が強いけどそれもまた可愛いくて好きだった。 ただ1つだけ治して欲しいこともあった。 それはバレンタインの日にチョコレートの形をした消ゴムを贈るのは止めて欲しい。 帰り道1人で口一杯に広がった消ゴムを盛大に吹き出した。
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