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「うちで働きたいって…」
女はドアを開けるなりそう言った。
風花はその女の気迫のようなモノを感じて無意識に立ち上がった。
「は、はい…」
女は風花の向かいに座り腕を組んだ。
「名前は」
風花は俯いて小さな声で答える。
「風花です。川北風花」
「風花ね…」
女は舐めるように風花を見た。
その目の力は風花の服の中まで見透かされているような気分になった。
「なんでうちで働きたいの」
女は風花に座れと促しながらそう言った。
風花はゆっくりとそのソファに座った。
「お金が欲しいんです」
女は瞬きをしながら足を組み替えた。
「お金ね…。確かにうちは稼げるわ…」
女は横に立った男から資料を受け取り、その紙を指さして指示をした。
男は黙って頭を下げると部屋を出て行った。
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