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「おはよう!ねえねえ雪!前に言ってた犬の写真見せてよ!最近飼い始めたっていう! 」
「おはよう咲ちゃん。うん。いいよ。 」
とある高校の朝のこと。2人の少女が仲睦まじく会話に花を咲かせていた。入学式に出会った2人は、名前が似ていることから仲良くなった。雪は体があまり丈夫でなく、いつも顔色が悪い。学校も入学して間も無く休みがちになった。折角仲良くなれたのになと咲が落胆していたが、近頃雪の体調が良くなり毎日学校へ来られるようになった。なんでも犬を飼い始めたらしい。雪は犬をとても可愛がっており、会話の種は雪の犬についてが大半だった。
「はい。由太郎っていうの。 」
雪は満面の笑みでスマホを操作し、写真フォルダから犬の写真を表示して咲に見せた。
「わあ!芝犬だ!可愛い!...でも何かちょっと顔色が悪い気がする様な...。 」
「...気のせいよ。そんなことないわ。 」
声が小さくなり、笑顔が消えてしまった。咲はしまったと慌てて言葉を紡いだ。
「う、うん。そうだよね。顔も生き生きしてるし気のせいだよね。 」
「うん...。 」
しかし雪は沈んだままで、顔に笑顔が戻らなかった。咲はどうしようか少し悩んで、良い考えが浮かびぽん、と手を打った。
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