甘くてにがい。チョコっとだけ。

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教室で女子が騒ぎ始めたら クリスマスかバレンタインと決まってる。 その中の1番"甘ったるい"イベントが今日だ。 もらえると分かってる男子はそわそわして もらえなさそうな男子まで浮き足立ってる。 話に混じることなく顔を反転させ 窓の外の…「ねえ、マシュマロあげるのって貴方が嫌いって意味なんだって~」「まぢ!?じゃあ、私あの人にあげようかなぁ??」 あぁ、もう、話の腰を折るなよな。 それにしても今日は空のマシュマロが… はぁ。もう。今日は空の雲が動くの早いな。 見ての通り、僕自身動揺してるのは当たり前だった。何故かって隣の席の女子の佐藤 紗々の事が僕は気になっていたからだ。でも別に一方的に気になってるわけじゃないと僕は思う。向こうだって、仲良い雰囲気出してるし、僕にしか身体に触れてるところを見たことがない。そんな仲だから、、バレンタインだから、、 でも、当の本人はまるで自分には関係のない事のように髪を下ろして、机にうつ伏せになって寝ている。「好きな人には手作りかな?」僕はそれを聞いて拍子抜けしてしまった。何故かって、自分が紗々と1番近い存在だと思ってたからだ。「紗々お前好きな人いるの?んー、やっぱ手作りが1番でしょ。」と素っ気なく答えてみた。彼女は僕の気持ちを邪推することもなく、だよねー。と軽く返事をしてまた寝てしまった。 終礼のチャイムが鳴った。やっとだ。安堵の声を洩らすと共にリュックを背負いそそくさと教室を出て、街の雑踏の中に身を投じた。 「ねえ、待って!」ちょうどいつもの公園の中を歩いてる時だった。驚き交じりに後ろを振り向くとそこに立っていたのは赤ら顔の紗々だった。 「早いよ、帰るの。渡したいものあったのに。 折角だからここで渡すね。」 心臓の鼓動がどんどん上がっているのを全身で感じていたから、なにも言葉が出なかった。 紗々はリュックの中を丁寧に探り、1つの綺麗に包装された箱を取り出した。 「これ、"手作り"の"マカロン"なの。美味しいか分からないけどたべてね。」 僕はしばし固まり 「...ありがと」と言った。口籠もりながらも必死に出た一言だった。 真っ赤な顔の彼女は走って帰っていった。 僕は帰って、バレンタインデー マカロンと打ち調べてみた。 真っ赤になった自分の顔を見ながら1番好きな洋菓子はモンブランからマカロンへと変化した。 「ばか、義理かと思ったら…」
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