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「私の件は後で詳しく……でも、今は智也君です。どこに行っちゃったんでしょう?」
「俺たちも、とんと見当が付かずに困っていたところだ。香織ちゃん、心当たりはないかい?」
心当たりと言っても……思い付くのは弟たちと嘉月君だけだ。
「そう言えば、彼が入った……異能力研究部、そっちの方は?」
「ああ、あれから真っ先に当たった。でも、全く収穫なしだった」
妙快さん曰く。『あの部活動は科学と物理を融合させたような部だった』らしい。
「視る力なんて、そんなもので立証なんてできないのに……あいつ何を考えていたんだろな……?」
多感な年頃だ。いろいろと思うところがあったのだろう――が、それを悟ることができきなかった自分が口惜しいと妙快さんが唇を噛む。
「妙快さんだけじゃありません。私だって……」彼の悩みに気付いてあげることができなかった。
「やっぱり家出でしょうか?」
「テーマパークの一件もあるし、現時点では何とも言いようがない」
そうだったとそのことを思い出した時、「あっ!」と北氷君が突然声を上げた。
「カオちゃん! ほら、太陽君が言ってた」
「あっ! ストーカー行為!」
北氷君と視線が合った途端、二人してうんうんと首振り人形のように頷き合う。
「ストーカー?」
そんな私たちに妙快さんは怪訝な顔になる。
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