似すぎた街並み

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「ふーん、そんなこと言っていいのかな?」 ニッと口角を上げる妙快さんの横から、弥生ちゃんが「招待状だ」と言って半月盆の横に白い封筒を置いた。 「映画の?」 「テーマパークのだ」 そう答えて弥生ちゃんは私の隣に座った。そして、その隣に妙快さんが腰を下ろした。 「もしかしたらそれ……」 「毎度のことながら響は勘がいいなぁ」 「スイーツランドの?」 「そして、香織ちゃんも相変わらずだな」 相変わらず何だと言いたいのだろうと妙快さんを疑問の目で見ていると、響さんの長い腕が封筒に伸びた。そして、そこから中身を取り出した。 「お主が思っているとおり、山向こうにできたテーマパークのだ」 えっ、と弥生ちゃんに視線を移す。 どうしてそんなものを持っているのだろうと思ったが、すぐに悟った。弥生ちゃんは藤宮稲荷神社の娘だ。近所のよしみで招待されたのだろうと。 「お友達もどうぞだとよ。余分に三通も入っていた。だから板前さんと戸川氏にも渡しておいた」 響さんが招待状から目を離してそれを私に渡す。そして、妙快さんを怪訝な表情で見る。だが、妙快さんはそれに気付かず話を続けた。 「プレオープンということだが、要はテーマパークの宣伝は口コミでっていう手法だろう」 響さんから手渡された招待状を見ると、簡単なスケジュールが書かれているが、妙快さんの言うとおり、オープニングで挨拶はあるものの、後は一日自由行動だった。 今やネットの時代。人口の殆どの人が何らかのSNSをやっている時代だ。そこに書き込みをすれば、たちまち情報は世界へと発信される。それを見越しているのだろうと妙快さんは推測したみたいだ。 「板前さんと戸川氏にも渡したって?」 「ああそうだ――ん? 本当に響は勘がいいなっ」 さっきまでヘラッと笑っていた妙快さんの顔がキリッと引き締まった。
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