8人が本棚に入れています
本棚に追加
いわゆる入場口で待っていたのは老婆でした。
「あ、あれは妖怪犬かけババアや。ウチ聞いたことあんねん」
再び宙に舞ったハムは訳知り顔でつぶやきました。
「あの犬笛見てみい。あれで恐ろしい犬を呼び集めるんや。強敵やで」
「お前はけっこう事情通だな。そういうことをどこで知ったんだ?」
吉宗は素朴な疑問をハムにぶつけました。
「ウチの故郷デゼニワールドや。そんなんええからあいつをやっつけな」
そうしている間にババアは犬笛を高らかに吹きました。
「アカン! 恐ろしい犬がぎょうさん集まるわ。なんとかせい吉宗!」
ハムの言うとおりどこからともなく犬の群れが集まりました。
「いかん! これではゴンちゃんが死んでしまう! 大ピンチだ!」
集まってきたのは柴犬の群れでした。全てモフモフの子犬です。
「……天国だ。こんなところに天国があったとは重畳だ。死んでもいい」
つぶやいた綱吉は子犬に舐められて気絶寸前です。大ピンチ?
「なんや? このアホ犬が苦手なんか? どういうこっちゃねん」
最初のコメントを投稿しよう!