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「臣? どうしちゃったの? 今日なんか変だよ」
その静けさに耐えられず、比較的明るい声を努めながら下から覗き込んで言った。
「いや、別に。ただ俺さ、美麗に好きな奴がいるって知って、ちょっと色々考えちゃって」
「えっ?」
恐れていたことを切り出してきた臣を前に息をのむ。だけどこんな風に切り出してくるなんて思ってもいなかった。想像していたものとはかけ離れていた。
「お前の好きな奴って誰だよ~」なんておちゃらけながら、ぐいぐい来ると思っていたのに。今私の目の前にいるのは、明るいとは言えない表情の臣。まさか、ショックだった、とか? そう思ってしまう私は都合がよすぎだろうか。だけど今日の臣は明らかに変だ。さっきのお弁当のくだりだって。
「なぁ、美麗の好きな奴って誰? 会社のやつ? 俺の知ってる人?」
頭の中で思考をうろうろさせていると、臣が私を真っ直ぐ見下ろし、真剣な眼差しで聞いてきた。
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