月とスッポンな関係

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「美麗はさ、少しも考えてないの? 結婚とか。今年27歳だろ」 肩を揉む私を振り返り覗き込んできてそう問いかける。昔と変わらない綺麗な顔立ちにドキッとしながら、かぶりを振った。 「やっ、私は特には……」 「相変わらず奥手だなよ、美麗は」 「だって……」 私は長年あなたが好きなんだ。なんて言ったらきっと驚くだろうな。 「お、臣は……真剣に考えてるんだね」 声が震えそうになるのをなんとか堪え、コキコキと首を鳴らす臣に聞いてみる。 「あーいい子がいればね。今のところ全くだけど」 「そ、そうなんだ」 「親もうるさいし、それに上を目指すなら信用ってやつが必要らしい」 あーそうか、臣は今の企画部で昇進を狙っているんだ。企画部2課といえば出世コースだし。それに部署は違うけど、仕事はできると評判。入社当初から期待されている彼に唯一足りないものといえば、きっとそういった社会的な信用というやつなのだろう。
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