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◇
とはいえ、なにからどう始めればいいのか。まずはそこからだった。臣が帰ってからずっと考えていたけど、全く思いつかない。
「卒業 意味とは って、なに調べてんの? 白鳥さん」
頭上から聞こえてきた声にハッとしながら顔を上げる。そこには首を傾げる三井さんがいて、慌てて背中で画面を隠した。
「やっ、あのこれは、その……」
「その慌てよう、なんだか訳ありって感じだねー」
必死な形相の私を見て、おかしそうに言う三井さん。まさか見られていたとは。しかもよりによって三井さんに。大失態だ。
「すみません、仕事中にこんな。すぐ消します」
「別にいいけどさ。で、白鳥さんはなにから卒業したいの?」
これ以上聞かないでと思っているのにも関わらず、三井さんはずかずかと踏み込んでくる。ほんと、この人苦手。先輩じゃなきゃ絶対無視してる。
「ちょっと色々ありまして……」
「あ、わかった。男だろ!」
いとも簡単に図星をつかれ思わずその場で飛び上がる。どうしてこういうときばかりこんなにも鋭いんだ。いつもダラダラと仕事しているのに。しかもうっかり狼狽えてしまった自分にも心底呆れる。
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