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カードを受け取りコンビニを出ようとするが、店内にはいつの間にか大勢の人たちが詰めかけていて思うように身動きが取れない。 敏光Tシャツがレアグッズなため、チラッとでもいいから拝みたいと思っているのだろうか。 いまTシャツを手にしていなくて良かったのかもしれない。 しかしこれから受け取りにいくということは、ここに集まっている野次馬まで引き連れていく羽目になるのではないか? 「柚衣、ここは一気に走り抜けるぞ。俺に着いてこい!」 しっかりと柚衣の手を握りしめ、外に向かって駆け出す蒼馬。 コンビニの外にも騒ぎを聞き付けた野次馬たちがわんさかと押し寄せていて、まるで祭みたいに賑わっていた。 これぞ、猫の爪冬のパン祭り。 ここにいる人々を振り切るため、とりあえず全力で突っ走るしかない。 愛の逃避行みたいだなと顔がにやつきそうになるのをこらえながら走る蒼馬だった。 「はあ、はあ、大丈夫か柚衣」 野次馬の姿が見えなくなったのを見計らって足を止め、後ろを振り返った蒼馬。 「はあ、はあ、大丈夫じゃないに決まってるじゃないですか。それに私は柚衣ではありません」 だ、誰だ?コイツ……。
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