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「……分かりました。住所と名前と電話番号もですか」
「あと、簡単なアンケートもありますので、宜しければご記入ください」
職業、生年月日、血液型、年収、趣味、好きな食べ物、借り入れ状況、勤務先住所、資格、家族構成……。
どこが簡単なアンケートだというのか。
ほぼ書けるわけがない。
「では、郵送はこちらまでお願いします」
必要最低限の情報だけ記入した用紙を奈倉に手渡し、蒼馬は今度こそ柚衣の手を引いて猫カフェを後にした。
「敏光さまTシャツ楽しみだなー!」
今日もらえないと知った時の落胆ぶりを見て可哀想になってしまった蒼馬。
しかし気分を切り替えて明るく笑う柚衣を見ると、自分まで明るくなれる気がしていた。
「本当は2枚手に入れてペアルックにするつもりだったのに。残念だな」
どうせキャンペーン終了まであと2日しかない。
1個500円(税抜き)のパンをあと100個買うなんて無理だし、ペアルックなんて恥ずかしくてできないに決まっている。
柚衣の気持ちを忖度して言ってみただけだった。
もしも柚衣がブルゾンを欲しがっていたら……?
全校生徒に配るしかなさそうだなと蒼馬は思った。
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