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「深澤蒼馬……か」
ここは猫カフェ『Nail of a cat』
ただしただの猫カフェではない。
『秘密結社 猫の爪』のアジトでもあるのだ。
今日はカフェの営業はしていなかったが、さっき訪問客の対応を終えたばかりだった。
管理人の奈倉木ノ子(本名は田倉美乃子)は訪問客が記入したばかりのアンケート用紙を手にしていたが、まだそれを見ていないアルバイト店員の伊達がここに書かれてある名前を呟いたので驚いた。
「伊達くん、さっきの人が『深澤蒼馬』さんだってこと知っていたの?」
「ああ、知ってるよ。深澤蒼馬……高校教師でありながら実は音楽プロデューサーという裏の顔を持っている。面白いな、彼。もっともっと知りたくなったよ……」
やっぱりこの男、侮れないなと奈倉(田倉)は思った。
なるべく深く関わるのはやめておこうと思うのに、彼の方からちょっかいを出してくるのだ。
「それだけよく知っているのなら、この紙はもう要らないですよね」
手に持っていたアンケート用紙をゴミ箱に捨てようとした奈倉(田倉)だが、伊達の俊敏な動きによって阻止され奪われてしまった。
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