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「ダンテ様?伊達くんが?伊達……だて……だんて……ダンテ!」
「田倉、お前が猫の爪に入団してどのくらい経つ?いい加減、俺がダンテだと気付けよ…………」
突然ザアーッという音をたてて雨が降りだした。
予報では傘は要らないと言っていたのに。
「私、行かなきゃ!雨が、雨が私を呼んでいる」
田倉は傘も持たずに雨の街へ飛び出して行ってしまった。
ずぶ濡れになりたい気分なのかもしれない。
「かなり衝撃的だったようだな。まあ頭冷やしたら普通に帰ってくるだろう。それよりも……やられたよ」
金海はダンテから渡された紙切れに視線を移す。
「アンケート、ですか。ほぼ無記入みたいですが……。深澤蒼馬さんって、誰ですか?」
「そいつはこの先、我が猫の爪と深い付き合いになるかもしれない男だ。無記入は想定内だから問題ない。問題は名前の下の項目だ」
名前の下の項目というと、住所ということか。
「えーと、◯◯区◯丁目◯番地◯◯郵便局……?私書箱◯号!?」
そう、深澤蒼馬は自宅の住所ではなく、郵便局の私書箱宛に敏光Tシャツを届けさせるつもりなのだ。
「ただ者ではないと思ったがあの男。まあでもこれからwinwinの関係を築くためにサービスしといてやるか」
あの男、彼女とペアルックしたいなんて。
クールな男を気取っているけど、溺愛系だったとは。
これから楽しみだな。
(おまけ)終
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