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しかし柚衣の健気な心配はまったく無用だった。 なぜなら蒼馬は実は秘密のアルバイトをしているから。 知人に頼み込まれ仕方なく音楽プロデューサーとしての活動をシークレットで行っている。 映画の挿入歌の作曲や、サウンドトラックも手掛けている。 それが思いの外好評で次はアニメーション映画のBGMを任せたいというオファーまできているとかいないとか。 だからコンビニでパンを100個買うくらいの財力は持ち合わせている。 ただ音楽活動が学校にバレたらクビは免れない。 社会人としての信用も失ってしまうのだから、慎重に行動しなければいけないと蒼馬はいつも自分に言い聞かせている。 「しかし何もこんな面倒なことしなくても、そんなに欲しいなら敏光Tシャツでもブルゾンでも俺が買ってやるのに」 「蒼馬知らないの?敏光さまグッズは人気が高すぎて発売されたらすぐに売り切れ状態なんだよ。生産工場のパートのおばちゃんたち不眠不休で次々に倒れちゃって、生産が追い付かないんだって。それで今は販売中止になってるの」 そうか欲しくても買えないのか。 それなら仕方ない。この近辺にあるコンビニに売ってる猫の爪パンを買い占めてやる!
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