第二話 呪いのビデオ

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 今度は声にして気持ちを表した稲穂。  そこに込められた感情は『困惑』ではなく『怒り』。  この女は呪われたので何とかしてくれと泣きついてきたのだ。しかも驚くくらい軽く。  過去実際に呪われ、酷い目に遭った稲穂からすれば、話を持ってこられるだけで迷惑なのに、それを茶化されるのは苦痛でしかない。 「……で?」 「ん?「で」って?」 「呪われたってことは何かあったんでしょう?じゃなかったらわざわざこれが本物なんて言わないでしょう?」  それを説明してほしいと促す稲穂。  正直「ふざけるな」と怒鳴りつけてしまいたいが、安易に決めつけてしまうのはよくない。話を聞いた上なら、まだ引っ叩いて追い返しても自分に納得できる。  だから少し我慢して話を聞く事にした。 「あったあった、ありまくりだよ~。まずコンビニで買い物した時にお金が足りなかったでしょ~」 (それはお前の頭が悪いだけだ) 「で、命の次に大事なスマホ間違えて洗濯機にかけちゃうし」 (それはただの不注意だ) 「その修理代のせいでお小遣い下げられちゃうしぃ」 (……ただの自業自得ですねぇ)  そろそろ許されるだろうと稲穂が右手を振り上げようとした瞬間、 「後、アッキーがいなくなったし」 (それは…………えっ?)  さらりと、大した事が無いかのように言った山根の言葉に、一瞬思考が止まる。 「……いなくなった?」 「うん、アッキーがね、二日前に」  ――淡々と平然と、稲穂の目の前のギャルはそう言った。
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