第二話 呪いのビデオ

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 * 「――と、言うのがここに来た流れです」  ――所変わって相模探偵事務所。  項垂れながら学園での経緯を説明した稲穂は、心底疲れた様子だった。 「……えっと、うん。お疲れさま」  相模は思わず敬語で稲穂を労う。 「……甘いものは疲れに効くらしいぞ、精神にも効くかは分からんが」  そう言って白髪ですら気を使って、皿に盛られたトリュフチョコレートを稲穂の前に置く。 「あ、いいな~稲穂っち。一つ貰うね」  そう言って稲穂の隣に座っていた山根がチョコに手を付けた。 「あ、私も~」といって残りの二人も手を伸ばす。 「…………」  白髪は無言で、それを咎めるでもなく、相模の定位置であるデスクの椅子に座り窓の方を向いた。 「それで、その「アッキー」というのは?」 「ん? あたし等のトモだヨ?」  山根はあっけらかんとそう言った。  どうも相模の意図が伝わっていないようで、内心で「まいったな」と呟く。 「秋貞さんという人は、黒縁のメガネをかけた人で三つ編みの女の子です」  そんな相模の心情を読み取ったのか、稲穂が補足説明をする。 「見た感じ真面目で、とても家出したり、無断外泊するような子では無いように見えました。ですよね?」 「そうそう、アッキー真面目ちゃんだからね~。誰にも何も言わずいなくなるとは思えないんだよねぇ~」「うんうん」「絶対なさげだよねぇ」  稲穂の説明に同意する山根。  それに追従して村田(むらた)浅子(あさこ)も返す。 「でもね、二日前に学園(ガッコ)に来なくなって、携帯にかけたらお母さんが出て、必死に何か知らないか聞いてきたの」 「いや~、あれは正直必死過ぎて引いたわ。マジ泣きしてんの」 「ウチの親なんて一週間留守にしてもなんも言わないのにね~」
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