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三人が帰った後、白髪は無言で塩を巻いた。
まだ下には三人がいて容赦なく塩が降り注いだが、「盛り塩だ、気にするな」と返してさっさと事務所に引っ込む。
部屋に戻ると、稲穂が近くにあった箒とちり取りを手に持って掃除をしようとしていた。
「しなくていい、気にするな」
そう言って稲穂の手から二つを奪うと、床に散らばったガラス片を掃除し始める。
「ごめんなさい、私のせいで……」
「別にあんたが悪いわけじゃねえ。気にすんな」
白髪はさして気にした風でもなく稲穂に返すが、その散らばったガラス片は珍しい逸品で、白髪が気に入っていた総ガラス製のウィジャ・ボードだと相模は知っている。
割れたのは山根が許可を得ずに「うおー、何コレ、ちょっと見せて~」と宣い棚を物色した時に落とした為である。
割った時「やっべ~」と拾おうとした山根に、白髪は一言、「触るな」とドスの聞いた声で静止した。
『以後こっちの了承無く物に触れるな。お前等が触れていいのはドアノブと出された茶菓子だけだ。触ったら殺す、触れようとしたら腕を折る、口答えしたら追い出す。以上だ』
それだけ言って相模に「さっさと応対しろ」と指示して、その後は三人に何も言わなかった。
おそらく、禁を破ったら腕を折るくらいはやっていただろう。
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