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玄関の上を照らすとそこには黒いかぶと虫があった。その角を見てみると、降りているのが分かった。
そこで背伸びをしてその角を上げてみると、再び各部屋からの虫音とともに明かりが戻った。
キャペルはてんとう虫の明かりを消してそのまま二階に上がっていった。
二階の部屋に戻ると安心した二人の顔が机を囲んで座っていた。
「電気が戻って良かったよ。」
「なんだよ、勝負が良いところだからか。停電の間にありをそっと動かしておけばよかったな。」
そんなことで笑っていた。しかしキャペルはひとり浮かない顔をして、部屋に入ってきた。
「何が原因なんだろ。」
キャペルはそう訊いた。
「何だろうね。かぶと虫の角を上げて直ったのであれば、この町一帯が停電していたというわけではないだろうし。」
「まあまあ、いいから早く再開しようぜ。何かトラブルが起きたんだろう。」
そうして三人は再びあり戦を再開した。しかしキャペルはまだ浮かない表情をしていた。
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