第一話、僕はお父さんの操り人形。

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影松side 知らない緑色パーカーの人にお金を払ってもらって、喫茶店に連れて来られた。 外、薄暗かったからなぁ。 あぁ、電気が眩しい。 俯いたままで居ると、緑色パーカーの人がコップに水のような物を入れて持ってきた。 「ほら、この水飲んで。そうしたらお話しよう?」 水、水…そうか、それなら安心。 水ならお父さんがいつも飲ませてくれるから。 でも。何か味が違う。 「………これ、水じゃない…フワフワしない、美味しくない。」 「これが水だよ。君の知ってる水って、麻薬じゃないの?」 「麻薬…………?」 そんなの知らない。 僕はお父さんのくれる水を信じて飲み続けた。 「ねぇ、君に聞いてもいい?どうして万引きしたの?お金は持ってる?」 緑色パーカーの人がそう尋ねてきた。 僕はボロボロの財布を出して所持金をテーブルに広げた。 なけなしの…20円。 「それしかお金ないの?」 頷くしか無かった。 自分が情けなかった。 この人に迷惑をかけてしまった。 「僕、帰る。」 そう言って逃げるように店を出た。 逆らったらお父さんに怒られる。 僕はお父さんの操り人形だから。 喫茶店の外は飲み込まれるような黒。 まもなく日付が変わろうとしていた。
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