王道学園と、平凡と見せかけた非凡

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哀留side なにやらさっきから蓮が不気味だ。 イライラしながら舌打ちをし、かといったら微妙な顔をしながら俺を見てる。 なんなんだね、君は。 人の帽子を鷲掴みにして取ったと思ったら、不機嫌になりやがって。 そりゃ俺は平凡さ。 一応これから人前にでるからって髪を切ったが、それがどうした。オシャレヘアースタイルにはなったが、顔は変わらん。 この日本人特有の黒髪黒目である、この平凡顔が気に食わんのか! 「クッソ。イケメン滅びろ」 「どーしたの?」 俺の呪いの呟きは、蓮の隣で大人しくしていた円に届いた。 きょとん顔で首を傾げている、円。 キュンっとした。 あれだ、犬猫に対する感じのキュンっとだ。 チクショウ、所詮お前もイケメンかっ!!!!! 委員長に指名されてから風紀に姿を現していない俺は、幻の風紀委員長となっている。 が、何故風紀委員の円とは面識があるのか… 答えは簡単。 風紀に入る前に会った事があるからだ。 あれは………… いやいや。 長くなるので色々端折るが。 俺が高1に進級したてのとき、俺は未知の世界へと足を踏み入れてしまった。 見たこともない景色、周りは草木だらけで帰り道も分からない未知の世界。(人はそれを迷子と言います) そんな世界で立ち往生していた俺は、ポツリと置かれたベンチに寝転がる金髪を発見した。 それが中3だった円である。 それからなんやかんやがあり、なんやかんやと会話をし、なんやかんやと俺は無事に寮の自室へ帰り。 (因みに全寮制) 月日が流れ高2に進級したら、高1に進級してきた円と再会し、なんやかんやと懐かれて円も風紀に入り……… 現在に至る。 こんな感じで円と出会った訳だが、しかし… 「なんやかんやって、都合がいい言葉だよな」 「なんやかんや?」 またコテリと首を傾げる円。 うん、キュンってきた。
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