王道学園と、平凡と見せかけた非凡

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皆川 Side 哀留がぶっ倒されて入院して、それからこの学園には目まぐるしく事が起こった。 唯が風紀委員長になったり? ソレには叔父である理事長がゴリ押ししたり?  入院していた会長の藤谷が復帰したと思ったら、唯を猫っ可愛がりして生徒会室から出さなかったり? そのせいで、生徒会室では唯の争奪戦が起こり、当然の如く仕事は滞り。 唯も唯で、生徒会室に籠もりっきりで風紀委員長としての仕事を放棄していたり? 「いーかんじに混沌として来たなぁ」 初めは、こいつを使って面白い事にならないかな……と、唯に近づいた。 ちょっと優しくしてやれば、その気になって周りを掻き乱してくるくる唯に笑った。 あのゲームも、楽しければと思った。 部外者を学園内に入れるのは、何かと障害があったが(教師連中やセキュリティや)、結果的には出来た。 唯の予想通りの滑稽さと、哀留の姑息な手でゲームはそれなりに楽しめた。 だが。 哀留が入院したときは、正直予想外で。 あの時は、風紀側が怒り狂ってたから自分は冷静になれたんだな…と、自己分析。 (そう言えば、アイツも珍しく怒り狂ってたな…) ステージ上から殴り倒されて、動かなくなる哀留の姿に。 アイツも、普段はあまり表に出さない感情を表に出していた。 哀留は本当不思議なヤツで…… 特に変なのばかり惹きつける。 そして、本人無自覚。 なんてったって本人は自分は人畜無害な、皆の記憶に「あぁそういえばそんな奴居たなぁ」位の認識の只の平凡だと思っている。 勘違いも甚だしい← そして、藤谷と同じ病院、病室に入院したと松江から聞いた。 風紀委員長の座を奪われて、哀留はどうするんだろうか… ショックで泣き崩れて。 そのまま塞ぎ込んでしまうー…………… ような、弱い神経の持ち主では無いと思う。 転んでも、すんなりとただでは起きない。 でも、それがいつになるか… しかも。 退学処分、そう全校生徒にも通告されている。 俺は哀留を買っているんだけどなぁ… と、日々を過ごしていたある日。
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