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「なっ!なんでそこまで?!!」
「は?!!なんの権限があんの??!」
雅と宗史は、自分の立場が崩れるのを恐怖した。
生徒会役員の解散など、当然の事ながら不名誉だ。
生徒会の解散は、あり得ること。
だが、それが実際に行われることは今まで無かった。
故に。これは、学園を卒業した後もずっと彼らに付きまとう。
この学園は、いわば金持ち・立場が高い者。優秀な者が多く在籍している。
哀留のように、一般で入る者も居るが、大抵は金持ち。
その中で、生徒会・風紀委の役職に付くのは名誉な事であり。卒業後もそれは充分なスペックになる。
それが、在籍中の解散。
いい笑いものである。
解散は、全校生徒の半数以上の署名が必要で。
宗史が蓮に「なんの権限が?!」と言っているが、何ら問題は無い。
「署名は集まっている。
お前達、3人と。他、憐れんだ数十人以外、全ての生徒達からな」
そう、署名は集まっている。
証拠集め、根回しのついでに生徒会解散の署名も集めていた。
勿論、渋った生徒も居る。だが、そこは説得。
更には、蜜埜の打診もあった。
膿を出す必要がある
生徒会長自らも、解散を求めている……これが決定的になり。賛同してくれた生徒も多い。それは、会長のカリスマもあった。
勿論、1度役職を辞めたとしても、立候補・人気投票で上位を取ればまた役員に戻ることは出来る。
恐らく、蜜埜がもう一度会長として返り咲くのは確実だろう。
だが、それだけでは駄目なのだ。
今現状の怠慢・信頼されていない生徒会を解散して。
膿を出し。
もう一度、立ち上がる必要があった。
だからこその、解散。
それは、奈月も空と海も承諾。知らぬは、原因となった唯・雅・宗史だけだった。
確実に、確実にもう生徒会へとは戻れない。
例え、立候補したとしても。家の力を使ったとしても、金を使ったとしても……自分たちが役員になれないことは、雅も宗史も分かってしまった。
彼らに、生徒からの信頼などはもう無かった。
だからこその、絶望。
もしかしたら、家からも面汚しとされ追い出されるかもしれない。
ガラガラと、自分達の足元が崩れ落ちるのを感じて、2人は力なくその場に座り込んだ。
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