花の曲

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「ふぁーあ」 でかいあくびを右手で隠す。目の下にクマができているかもしれない。 俺は空港にいた。フライトのアナウンスが出発ロビーに響く。正直不明瞭でなんて言っているのか分からない。 ああ。煩い。 ガチャガチャ言うな。 向こうで子供が泣いてる。あの音嫌いなんだよ。ギンギン響いて要求を通そうとする、あの音。 子供の頃からあった絶対音感。不愉快で仕方なかった。でも今はそれとうまく付き合っている。気を抜くとこうやってイライラさせられるけど。 メールの着信があり、社長からのメッセージを読む。どこのホテルを取ったかという知らせだった。 俺がここに着いて眠ってる間に、花はずっと働いているんだろうな。そう思うと少し不憫だった。 「まあ、それも後しばらくの辛抱だ」 ここにいない彼女のために呟く。
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