花の曲

4/4
前へ
/13ページ
次へ
今朝、おおよそ出来上がった花の曲。 それをもう少し修正して、俺の名前で売り出す。売り上げは彼女のものにするという条件で。 割と……というか、結構いい線いってる。俺のおかげで。売れると思う。 歌詞は面倒だけど俺が付けよう。そうしないと余分な費用がかかるからな。 ああん?『歌詞書けるのか』って? バカにすんな。俺を誰だと思ってんだ。 あいつの負ってしまった500万も何とかなるだろう。先にいくらか貸しておけばいいさ。もちろん利子なしで。 「ったく。(あいつ)はまず男を見る目を養うべきだ」 尖らせた口からブツブツ文句が出てくる。こちとら慈善事業やってるんじゃないんだよ。飛行機代は経費で落とそう。 花に書かせた振込先をスマホにメモする。地方銀行かよ。手数料結構かかるんだよな。 俺の搭乗する便が放送される。人の波が列をなし、その中に紛れると、後ろの方から「西野啓二じゃない?」とヒソヒソ話す女性の声がした。 そうだけど、何だよ。 不機嫌に搭乗券を睨みつけていると、また社長からメールが入った。 ーー土産は「鍋島」っていう地酒で頼むわ。 「知るか!」 了
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加