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とにかく中に入れてもらい、オロオロする彼女を尻目に速攻でストーブを点け、台所のヤカンで湯を沸かした。
湿気がすごい。こたつ布団が冷たく湿って重くなっている。畳とかカビてんじゃないか?恐ろしい家だな!
部屋の角には電子ピアノがあった。ほかに目ぼしいものは何もない。強盗目線で見ても。
「あの、あの……」
「突っ立ってないで座れば」
いち早くこたつに足を入れた俺。人の家だが遠慮する余裕はない。全然暖かくならないのは何故だ。あっ、コンセント抜けてた。くそー!
「灯油が無くなるので、買ってきます」
その言葉に俺はサッと手を伸ばして、なかなか赤くならないストーブを切る。
「どこに買いに行くんだ!?」
耐え得る寒さメーターと苛立ちバランスがマックスに振り切れる。
数秒後、俺は灯油缶を持って近くのガソリンスタンドに走っていた。
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