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まぁ、そこは否定はしない。謙遜が通るほどの規模ではないことは社長がよくわかっている。
「つまり世界を動かしている会社の社長であるあんたは、世界を牛耳っているも当然だろう。いわば世界の支配者だ。俺の情報を使って、悪の組織を壊滅させてくれ」
「悪の組織ねぇ」
社長はつい苦笑いをしてしまった。
彼が言う「悪の組織」。平和の世界の裏側で暗躍しているのはこの世界では周知の事実である。
すべての犯罪がおおよそ彼らの手によるものらしいが、それでも警察が手を抜いているのか、それとも何か裏側があるのか。ほとんど検挙されることがない。
それでも彼らはこの世界の闇に確かに存在していて、ありとあらゆる悪だくみをして、それを実行に移す。
「警察があてにならないのはまぁ、私も同じ意見だ。けれど、その情報を私に渡されてもねぇ」
「なんでだ?あんたこそ世界の正義だろう?」
「正義ねぇ?」
「正義だ。あんたはみんなを幸せにする会社の社長だ。……だから、あんたには悪の組織をつぶす義務がある」
少年は誠実な目で社長を見据える。
「それに、あんたにとって悪い話じゃないだろう?そいつらがいなくなれば、会社の邪魔をするやつがいなくなる。あんただって悪の組織に邪魔されたことがない……ということはないだろう」
「はははっ」
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