招待屋

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『もーいーかーい。もーいーかーい。』 一人の女子生徒は、夜の学校でかくれんぼでよく使 うセリフを言いながら、一歩ずつ前に進んでいた。 うす気味悪い夜の学校は、夏なのになぜか涼しく感 じる。 手は汗でべっとりとしていて、うまく懐中電灯持て ない程だった。 「もう、帰ろうかな…。」 後ろへ後ずさりし、そのまま下駄箱へ向かおうとし たその時。 『チリーン。チリーン。』 鈴の鳴る音が聞こえた。 女子生徒は、背筋が震え寒気が止まらなくなった。 後ろを振り向いてしまえば、私はもう戻ってこれな い。 そう察した私は、下駄箱まで猛ダッシュした。 なぜなら、友人言っていたこの学校の怪談の話が、 今現実になっているからだ。 階段を急いで下り、廊下を走り、息が止まりそうな くらい走った。 下駄箱に着いた私は、一安心し扉を開けようとし た。 だが、どんなに力強く押してもその扉は開かなかっ た。 『もーいーよー。』 鈴の音と同時に、近づいてくる足音。 そのセリフに、私は後ろを振り向いてしまった。 すると、目の前には下を俯いてる男の子が立ってい た。 スーツを着ていて、片手に鈴を持っている。 『ねぇ、これからかくれんぼするんでしょ?逃げな いでよ…ねぇ…?』 顔を上げた男の子は、少しうす気味悪い笑い方をし た。 冷たい眼差しで、肌がとても人間じゃない位白く て、私は寒気が止まらなかった。 そこから、私の記憶は途絶えていった。 こうして、翌朝その女子生徒は行方不明のまま帰っ てこなかった。 『鈴を持った黒いスーツの男の子にご注意を……』
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