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「さーわーるーなーっ!」
「ちょっとだけ! ちょっと触るだけだから! 入れないから!!」
そう言って穏便に終わったエロ漫画はエロ漫画じゃねえ、ただのギャグ漫画だ。このパターンだと10割完封勝利で全部挿れられるわコンチクショウ!!
ぐいぐい近づいて来るオッサンの熱気が気持ち悪くて、両手で相手の顔を押さえて引き剥がそうとするがビクともしない。
くそう、運動不足の俺のバカ。
「ね、お願い。そうだ、触るの許してくれたら本買ってあげる」
なぬ。
でれでれしたブラックの顔を凝視して、俺は思考を停止した。
「ほ……本?」
実はこの世界、本がかなりの貴重品。
どうやら本を作るのがかなり面倒らしく、それほど冊数が刷れないらしい。なのでかなり値段が高く、本棚がぎっしりつまる程度の本を持ってるのは金持ちくらいしかいない。回復薬が500ケルブ……銀貨五枚の値段だとすると、エロ同人誌なみの薄い本でもこの世界では金貨十枚はする。
俺の世界のお金で言うと、回復薬五百円、薄い本一万円だ。
日々のご飯に使うお金が銀貨一枚くらいと言えば、大体高すぎるのが判るだろう。
そんな本を、買ってくれるだと?
「ツカサ君、植物図鑑欲しがってたよね。買ってあげる。だ、だから……」
本。鑑定スキルの使えない俺には、この世界では唯一の情報源。
そして、極上の娯楽だ。
触るだけで、分厚い本一冊……
「…………さ、触る……だけだぞ」
学校にエロ画像持ってくる俺が、そもそも堪え性や危機感なんて持てるはずがなかったよなあ。うん。
→
※当然の話ですが、この世界の素材だから適当レシピでも美味しいわけで
現実で再現するとウゲーな味になりますのでご了承ください(´・ω・`)
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