3.DKおさわり一万円※

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   ブラックの吐息を近くに聞きながら、俺は自分の体が筋張った大きな手に撫でまわされるのをじっと見る。  焚火に赤々と照らされた俺の腹や胸を、ブラックの手は何度も行き来していた。  何が楽しいんだろう。良く解らない。だけど、ブラックの顔を見ると相手は蕩けそうな顔をしていて、気味が悪かった。    あの、なんだろう。なんていうか……こっちが変に冷静になる。  売春してる悪い女の子がオッサンに胸触らせてる時の気持ちが、なんか解った気がする。そりゃ、その……ドキドキはするけどさ、好きでもない相手の興奮した顔を見ても自分が興奮したりはしないんだよな……なんかごめんな、オッサン。    でもこういうのって、男からしたらスゲーショックなんだよなあ。  だって俺が女の子とこうする時にそんな事思われてたら、なんかもう軽く死にたくなるもの。部屋から出たくなくなるもの。自分一人だけ興奮してバカみたいじゃん。かと言ってヘタに演技されても傷つくしさあ。俺テクないのかよーって。  男はデリケートなんだよ本当。  でも、そうするとなんか余計ブラックに申し訳ない。  凄く興奮している相手を見てると、なんだか罪悪感が出て来てしまう。俺が触るだけなんて言ったから、律儀に上半身撫で回すだけで留めてるし、俺が興奮してないのなんか気付かないくらいハァハァしてるし。  なんか……ちょっと可哀想だし……。  俺で良いってんなら、ちょっとくらいは……サービスしてやろうかな? 「あ、あの……」 「え?」  鼻息荒く顔を上げたブラックに、俺は今まで見たエロ画像の中でも中々に萌える行動の一つをやってみた。 「もっと、触っても……いい、よ?」  自分でよりシャツをたくし上げて、恥じらいがちに上目使い。  やってる奴が俺じゃなかったら、今すぐにでもダイブしたいくらい可愛い仕草だ。だから今俺がやってるってことは忘れて欲しい。切実に忘れて欲しい。  でもブラックは俺に興奮してるんだから、これくらいは靡くよな?  そういう思いでじっとブラックを見つめると、相手は虚を突かれたように大きく目を見開いていたが……。 「つ、つか、さっ」 「はい?」 「あ、ああああ」  やだなにこの雄叫び。ちょっとやばくない?  思わず青ざめたが、後の祭り。   
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