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「はっはっはっは! そうかそうか、そりゃ、くくっ……いい事言ったね……! その貴族の顔見てみたかったなあ……いやでも、ここがゴシキでよかったよ」
「ハ? なんで」
「ゴシキ温泉郷は高等区でも一般街でもない、観光地だからね。普通の町中でそんな事を言えば、どんな目に遭うか解ったものじゃない。でもここは中立地帯で貴族も平民も関係ないから……」
ほほう。ここは貴族と一般人が肩を並べられる場所なのか。
感心した……と言おうとしたが、俺はある事に気付いてその言葉を引っ込めた。
「なあ、じゃあもし……もし、だけどさ? 俺が蛮人街の人間だって解ったら……どうなると思う?」
「…………あー……」
おいちょっと、黙らないで。頼むから黙らないで!!
ブラックの煮え切らない態度が、余計に不安をあおる。本当そういうのやめて、嫌な予感がビンビンするじゃん。フラグが微妙に立ち上がろうとしてるじゃん。
頼むからいつものおふざけであってくれ、と俺は祈ったが。
「残念だけど、何されても文句は言えないよね」
あ――――っ! そうですよねええええ! だと思いましたぁああ!
なにフラグおっ立てちゃってんの俺、この前迂闊な行動はしないようにしようって決めたばっかりだったのにぃいいい。
「とりあえず……バレないようにしようね」
「う……うん……」
「それにしても、その貴族ムカつくなあ。僕がいない間にツカサ君にちょっかいを出すなんて……」
ああもう、そう言うのいいってば……。
俺が出会う大人って、なんでこんなのばっかなの。
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