1人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
意気揚々と帰り着いたわたしを待ち受けていたのは、「遅かったわねえ」と、不機嫌な顔を見せるお隣さんだった。
「お昼過ぎって聞いてたけど、今、何時かしら? うちの時計では、もう三時を回っているんだけど」
「ああ、失礼しました。ありがたいことに、就職が決まりまして。会社内を見学させてもらったら、遅くなってしまいました。お待たせしてしまいました」
“なんで謝らなきゃならんのだ”
と思いつつも、へこへこと何度も頭を下げ続けてしまった。そんなわたしとお隣さんの声に気が付いたのか、ぞろぞろと集まってきた。まったく、暇な御仁ばかりのようだ。結局のところ、二時間ほど質問攻めにあった。
六年前に離婚してバツイチであること、子どもたちとは手紙のやり取りはあるけれども、今流行りのメール交換はしていないと話した。そして三年ほど前に心臓を患い、今年の春からペースメーカーのお世話になっていることも、話してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!