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「あ、あの!これ、良かったら食べてください!」
2月14日。
私は隣人さんである男性にプレゼントを渡しに来ていた。
中にはクッキーと『いつもお世話になっているお礼です。いつもありがとうございます』と書いたメッセージカードが入っている。
いつも困ったときに助けてもらっているので、そのお礼のつもりだった。
「ありがとう」
私は男性がクッキーを受け取ってくれたのを確認してから、「それでは」と急いでその場を去った。
というのも、この後約束があるから。
-早くしないと彼との待ち合わせに遅刻しちゃう!
私は急いで部屋に入り、キッチンに置いておいた彼へのチョコレートを持った。
その時、
「…ん?」
その奥に、あるはずのないものがあるのが見えた。
綺麗に焼かれたバタークッキー。
お隣さんにあげたはずのものだった。
その代わりに、その隣の皿に置いておいた焦げたクッキーが無くなっている…。
「あ、あれぇぇぇ?」
何でないはずのものがあって、あるはずのものがないんだろう……?
……まさか。
少しの思案の末、私が辿り着いた結論は一つだった。
「…もしかして私……間違えた……?」
──その事実を、男性は数秒後に知ることになる。
チョコかと思ったら……ただの焦げたクッキーだと言うことを。
「苦ッ!」
そんな男性の短い叫びが聞こえてきたのは言うまでもない。
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