もしかして…?

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「あ、あの!これ、良かったら食べてください!」 2月14日。 私は隣人さんである男性にプレゼントを渡しに来ていた。 中にはクッキーと『いつもお世話になっているお礼です。いつもありがとうございます』と書いたメッセージカードが入っている。 いつも困ったときに助けてもらっているので、そのお礼のつもりだった。 「ありがとう」 私は男性がクッキーを受け取ってくれたのを確認してから、「それでは」と急いでその場を去った。 というのも、この後約束があるから。 -早くしないと彼との待ち合わせに遅刻しちゃう! 私は急いで部屋に入り、キッチンに置いておいた彼へのチョコレートを持った。 その時、 「…ん?」 その奥に、あるはずのないものがあるのが見えた。 綺麗に焼かれたバタークッキー。 お隣さんにあげたはずのものだった。 その代わりに、その隣の皿に置いておいた焦げた(・・・)クッキーが無くなっている…。 「あ、あれぇぇぇ?」 何でないはずのものがあって、あるはずのものがないんだろう……? ……まさか。 少しの思案の末、私が辿り着いた結論は一つだった。 「…もしかして私……間違えた……?」 ──その事実を、男性は数秒後に知ることになる。 チョコかと思ったら……ただの焦げたクッキーだと言うことを。 「苦ッ!」 そんな男性の短い叫びが聞こえてきたのは言うまでもない。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!